こんにちは。島根県浜田市にある「かずあきデンタルクリニック」です。
日常会話のなかで「自分の声がこもって聞こえる」「言いたいことがうまく伝わらない」と感じた経験はありませんか。これは単なる発声の問題ではなく、滑舌の問題が関係しているかもしれません。
滑舌の悪さは、会話のなかでの誤解を生むだけでなく、対人関係や仕事においてもストレスの要因となることがあります。
滑舌が悪くなるのには、さまざまな原因が考えられますが、そのなかでも見落とされがちなのが歯並びとの関係です。実は、歯並びや噛み合わせの状態が、舌の動きや発音に大きく影響を与えているのです。
そして、歯並びを整える矯正治療は、見た目だけでなく、発音の明瞭さを高め、滑舌の改善にもつながる可能性があります。
今回は、歯並びと滑舌の関係性や矯正治療中に滑舌が悪くなる原因、対処法について詳しく解説していきます。滑舌に悩んでいる方や、これから矯正を始める予定の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
歯並びが悪いと滑舌が悪くなる?
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歯並びと滑舌には、密接な関係があります。滑舌とは、言葉を発する際の舌や唇、喉の使い方が適切であるかどうかを指しますが、これらの器官の動きは、歯の位置や形状によって大きく影響を受けるのです。
たとえば、出っ歯(上顎前突)の場合、前歯が前方に突き出ているため、舌が適切な位置に当たらず、特にサ行・タ行の発音が不明瞭になる傾向があります。
また、前歯が噛み合わない開咬では、発音時に空気が前方から漏れてしまい、音が不安定になります。これは、英語のthの発音を日本語で行うときに近い感覚で、舌が歯と接触せずに空気が抜けてしまうことで、正しい音が作れないのです。
さらに、交叉咬合や叢生(歯のデコボコ)などの歯列不正がある場合、舌の正しい動きが妨げられ、口の中で言葉がこもるような発音になることもあります。
このような状態が続くと、子どもの場合は発音の癖がそのまま定着し、大人になってからも改善されないケースも見られます。つまり、滑舌が悪いと感じたときには、発声練習だけでなく、歯並びや噛み合わせの状態にも目を向けることが重要なのです。
矯正治療中に滑舌が悪くなる原因
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矯正治療を始めた方のなかには「治療を始めてから滑舌が悪くなった気がする」と感じる方も少なくありません。これは一時的な現象であり、治療が進むにつれて自然に改善されることが多いですが、なぜこのような変化が起きるのかを理解しておくことは大切です。
ここでは、矯正治療中に滑舌が悪くなる原因について解説します。
矯正装置による舌や唇の動きの制限
矯正装置は口腔内に一定のスペースを占有するため、舌や唇の自然な動きを一時的に妨げます。特に、前の裏側に装置が取り付けられる裏側矯正(リンガル矯正)では、舌の可動域が大きく制限され、発音しづらくなることが多いです。
また、固定式の装置は装着期間が長いため、発音に違和感を持つ期間も長くなりがちです。特定の音が出しにくい、唾液が多くなって話しづらいといった問題も、矯正治療中によく見られる現象です。
歯の移動による舌の位置の変化
矯正治療によって歯が動くと、それまで舌が自然に置かれていた場所が変わることがあります。この変化によって、舌がどこに当たれば正しい音が出るのかがわかりづらくなり、滑舌に違和感を覚えることがあります。
これは、舌の学習された動きが一時的に混乱するためで、体が新しい口内環境に慣れるまでに時間がかかるのです。
発音時の空気の流れの変化
矯正治療によって歯列が整ってくると、発音時の空気の通り道も変わります。たとえば、開咬が改善されることで、今まで抜けていた空気の通り道が塞がれ、新しい発音の仕方を体が覚え直す必要が出てきます。発音時の違和感は、この再学習の過程で起こる自然な現象です。
矯正治療中に滑舌の悪さを感じたときの対処法
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矯正中に滑舌の悪さを感じると、不安になる方も多いでしょう。
しかし、多くのケースでは適切な対処を行えば改善が期待できます。ここでは、矯正治療中に滑舌の悪さを感じたときの対処法について解説します。
発音練習や読み上げトレーニング
滑舌改善の基本は、正しい音を意識して繰り返すことです。矯正装置の影響で舌や唇の動きが制限されている場合でも、発音の練習によって徐々に適応できるようになります。
まずは、さしすせそ・たちつてと・らりるれろなど、滑舌に影響が出やすい子音と母音の組み合わせを、ゆっくり・丁寧に声に出して読み上げる練習を行いましょう。最初は鏡を見ながら、口の開き方や舌の動きを確認しながら練習すると、正しい動きが身につきやすくなります。
また、新聞や絵本、小説などを音読する習慣を取り入れることも効果的です。音読する際には、聞き手を想定して、文章の区切りや抑揚にも注意を払いましょう。スマートフォンで自分の声を録音し、あとで聞き返して改善点を見つける方法もあります。
舌のトレーニング
滑舌の悪さを改善するためには、舌や唇、頬の筋肉を正しく動かせるようにすることが大切です。
矯正装置によって動かしづらくなっているこれらの筋肉を鍛えるためには、口腔筋機能療法(MFT)と呼ばれるトレーニングが有効です。たとえば、MFTでは、以下のようなトレーニングを行います。
・唇をすぼめる運動:5秒間唇をすぼめてキープし、緩める
・舌と上顎の接触練習:舌を上顎に当てて離す
これらのトレーニングは、毎日3〜5分でも継続することで効果が期待できます。歯科医師に相談し、個々の状態に合わせたトレーニングを受けることで、より精度の高い改善が可能になります。
また、姿勢を正すことも大切です。猫背になっていると舌が落ち込んで発音に悪影響を及ぼすことがあります。背筋を伸ばし、顔を正面に向けた状態で発音練習を行うよう心がけましょう。
日常生活で意識できるポイント
滑舌の改善は、特別なトレーニングだけでなく、日常生活のなかでのちょっとした意識づけでも大きな効果が期待できます。
まず意識したいのが、ゆっくり丁寧に話すことです。矯正装置の違和感や発音しづらさがある状態では、早口になると余計に聞き取りづらくなります。会話では、言葉と言葉の間に少し間(ま)を取ることを意識すると、聞き手にも伝わりやすくなります。
次に、水分補給をこまめに行うことも大切です。矯正装置の装着中は、口腔内が乾燥しやすく、唾液の粘度が増して話しづらくなることがあります。乾燥を防ぐために、常温の水を少しずつこまめに飲むようにしましょう。
また、口をしっかり動かして話すことを意識すると、自然と口周りの筋肉が鍛えられ、滑舌の安定化につながります。
このように、日々のちょっとした工夫と意識づけによって、矯正治療中でも発音の質を維持・改善していくことができます。
矯正治療後には滑舌が改善される?
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矯正治療を終えたあと「発音がしやすくなった」「話すときのストレスが減った」と感じる方もいます。これは、歯並びや噛み合わせが整うことで、舌や唇が正しい位置に自然に収まり、音の出しやすさが向上するためです。
特に、開咬や出っ歯といった明らかな不正咬合があった人は、治療後に大きな変化を感じやすい傾向にあります。
また、発音に対する意識が高まり、話し方そのものが丁寧になったという声も聞かれます。これは、矯正期間中に意識して発音練習やトレーニングを行っていた成果ともいえるでしょう。
ただし、治療終了後すぐに滑舌がよくなるわけではなく、口腔内の環境に舌が適応するまでにある程度の時間がかかる場合もあります。継続的なトレーニングや正しい話し方を意識することで、よりよい結果が期待できるでしょう。
まとめ
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滑舌の悪さには、歯並びや噛み合わせといった口腔内の構造的な問題が関係していることがあります。
発音が不明瞭だと感じる方は、発声練習だけでなく、歯科的な観点からのアプローチも検討したほうがよいでしょう。矯正治療は、見た目の美しさだけでなく、言葉の通りやすさ、発音の明瞭さにも大きな影響を与えます。
治療中に一時的な滑舌の悪さを感じることはありますが、これは一過性のものであり、多くの場合は時間の経過とともに改善されていきます。発音練習や口腔トレーニングを取り入れることで、乗り越えることができるでしょう。
歯列矯正を検討されている方は、島根県浜田市にある「かずあきデンタルクリニック」にお気軽にご相談ください。
当院では入れ歯や矯正治療、小児矯正など、さまざまな診療を行っています。当院のホームページはこちら、予約・お問い合わせも受け付けております。公式Instagramも更新しておりますので、ぜひチェックしてみてください。
