こんにちは。島根県浜田市にある「かずあきデンタルクリニック」です。
歯周病と糖尿病はまったく別の病気に思えるかもしれませんが、実は密接に関わっています。この2つの疾患は、お互いに悪い影響を与え合うことがわかっているのです。そのため、糖尿病にならないようにすること、歯周病を悪化させないことは、どちらも大切です。
今回は、歯周病と糖尿病の関係について解説します。歯周病を予防するためのポイントについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
歯周病とは
歯周病は、歯茎やその下にある歯槽骨、歯根膜といった歯を支える組織に炎症が起こる病気です。初期段階では痛みなどはほとんどなく、気づかないうちに進行することが多いです。
歯周病の原因は歯垢に含まれる細菌です。口の中には常に数百種類の細菌が存在していますが、歯垢が溜まると細菌が増殖し、歯周病を引き起こします。
健康な歯茎はピンク色で引き締まっており、歯と歯茎の境目の深さは1〜2mm程度です。歯周病が進行すると、この境目が深くなり、細菌が増殖しやすくなります。さらに進行すると、歯を支える歯槽骨が溶かされ、歯がぐらつきはじめて最終的には抜け落ちることもあるのです。
歯周病には大きく分けて歯肉炎と歯周炎があります。歯肉炎は歯周病の初期段階で、炎症が歯茎に限定されている状態です。
歯周炎は歯肉炎が進行した状態で、炎症が歯茎だけでなく、歯を支える歯槽骨や歯根膜にまで広がっています。軽度歯周炎では歯周ポケットが3〜4mm程度、中度歯周炎では5〜7mm程度、重度歯周炎になると7mm以上になります。
歯周病の症状
症状としては、歯茎の変色や腫れ、歯磨きのときの出血などが見られます。また、歯周ポケット内で繁殖した細菌が悪臭を放つ物質を産生するため、口臭も強くなります。
悪化すると歯茎から膿が出たり、歯茎の後退によって歯が長く見えたり、歯がぐらぐらするようになったりします。
糖尿病とは
健康な人の場合、食事で摂取した糖分は膵臓から分泌されるインスリンの働きによって細胞内に取り込まれ、エネルギーとして利用されます。
糖尿病は、インスリンが十分に分泌されなかったり、分泌されていても細胞がうまく反応しなかったりすることで、高血糖の状態が続く病気です。
糖尿病の種類
1型糖尿病は、膵臓のインスリンを作るβ細胞が破壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなる病気です。生涯にわたってインスリン注射による治療が必要です。
2型糖尿病は、インスリンの分泌量が減少したり、インスリンが分泌されていても細胞がインスリンに対して反応しにくくなったりすることで発症します。肥満、運動不足、ストレス、遺伝的要因などが複合的に関与しているといわれています。
このほか、妊娠によるホルモンバランスの変化が影響して起こる妊娠糖尿病があります。出産後は血糖値が正常に戻ることが多いですが、将来、2型糖尿病を発症するリスクが高くなります。
糖尿病の症状
糖尿病の症状としては、例えばのどの渇きがあります。血糖値が高くなると、体は血液中の糖分を薄めようとして水分を求めます。特に夜中に目が覚めて水を飲みたくなったり、飲んでもなかなか渇きが収まらなかったりする場合は要注意です。
また、血糖値が高くなると腎臓が血液中の余分な糖分を尿として排出しようとするため、尿量が増加します。夜間に何度もトイレに起きるようになったり、日中の排尿回数が明らかに増えたりする場合は糖尿病が疑われます。
疲労感も糖尿病によく見られる症状です。インスリンが正常に働かないと、細胞が糖分をエネルギーとして利用できないため、体は慢性的なエネルギー不足の状態になります。そのため、疲れやすい、集中力が続かないといった症状が現れることがあるのです。
歯周病と糖尿病の関係
歯周病と糖尿病の関係を見てみましょう。
糖尿病によって歯周病が悪化しやすくなる
糖尿病の方は、そうでない方と比べて歯周病にかかるリスクが高くなります。さらに、歯周病にかかった場合には進行しやすく、治療にも時間がかかる傾向があります。血糖値のコントロールが不十分だと、リスクはさらに高まります。
血糖値が高い状態が続くと、白血球が本来持っている細菌への防御力が落ち、歯ぐきに侵入した細菌に対して十分に抵抗できなくなります。そのため、ちょっとした細菌感染が大きな炎症につながりやすいです。
また、体内の組織修復力も低下し、一度傷ついた歯ぐきや骨の治りが遅く、炎症が長引いたり慢性化しやすくなったりします。そのため、糖尿病のある方は通常よりもしっかりと口腔ケアを行うことと、歯科医院で定期検診を受けることが一層重要です。
歯周病によって糖尿病リスクが上がる
歯周病による炎症は全身に影響を与えます。歯周病が進行すると、歯ぐきやその周囲の組織で炎症性物質が作られます。これらの物質は血流に乗って全身に運ばれ、インスリンの働きを妨げます。インスリンには血液中の糖を細胞に取りこませて血糖値を下げる役割があります。
しかし、炎症性物質が多くなるとインスリンの効きが悪くなり、血糖値が高い状態が続きやすくなるのです。歯科治療や日常的な口腔ケアを血糖管理の一環と捉え、継続することが大切です。
歯周病を予防するためには
歯周病を予防するためのポイントを見てみましょう。
正しい方法で歯磨きをする
歯磨きをするときは歯の表面を磨くだけでなく、歯と歯茎の境目にブラシの毛先を45度ほどの角度で当て、やさしく小刻みに動かすことが大切です。力を入れすぎると歯茎を傷つけるため、ペンを持つようにして軽い力で磨きましょう。
朝と夜の2回、できれば毎食後に歯磨きを行い、口の中の汚れをしっかり取り除いて、細菌の増殖を抑えましょう。
デンタルフロスや歯間ブラシを使う
歯ブラシだけでは、歯と歯の間にある歯垢を落としきれないので、デンタルフロスや歯間ブラシを併用しましょう。歯間ブラシを使用することで、歯と歯の間が広い部分に付着した汚れを落とすことができます。歯間が狭い場所はデンタルフロスが有効です。
これらを1日1回、就寝前に使用することで、歯ブラシの毛先が届きにくい細かい部分に付着した汚れを効果的に除去でき、夜の間に細菌が増殖するのを防ぐことができます。
禁煙する
タバコに含まれるニコチンは血流を悪くし、歯茎への栄養や酸素の供給を妨げます。その結果、歯周病菌に対する抵抗力が低下し、炎症が進行しやすくなります。
また、喫煙者には歯茎の出血や腫れといった初期症状が現れにくいため、自覚しないまま悪化するケースが多いです。
禁煙によって血流は回復し、歯茎の治癒力も向上します。歯周病の予防や進行抑制を考えるなら、禁煙に取り組むのがよいでしょう。
定期的に歯科検診を受ける
歯石は一度付着すると歯磨きでは落とせず、細菌の温床になります。毎日のセルフケアでは落としきれない汚れや歯石も、歯科医院での専門的なクリーニングなら取り除けます。
3〜6か月に1回くらいの頻度で歯科検診を受けることで、歯周ポケットの深さや歯茎の状態もチェックできます。歯周病の早期発見と早期治療によって、大きな処置を避けることができるでしょう。
健康管理に気を配る
血糖値が高い状態では免疫機能が低下し、歯周病菌に対する防御力が弱まります。また、歯周病が悪化すると炎症物質が血液を介して全身に広がり、血糖コントロールを悪化させます。食事や運動の習慣を整え、全身の健康管理を心がけましょう。
まとめ
歯周病と糖尿病は別の病気のように思われがちですが、実は互いに影響を及ぼし合っています。片方が悪化するともう一方も進行しやすくなることがわかっており、歯周病と糖尿病のいずれも軽視することなく、両方の対策にしっかり取り組むことが大切です。
糖尿病を患っている場合は、血糖値の安定を図りながら歯周病ケアを並行して行いましょう。また、歯科医院を受診する際に糖尿病であることを伝えることも大切です。これによって、病気を改善するための適切な治療や指導を受けることができるでしょう。
信頼できる歯科医院で定期的なケアを継続し、長期的な健康維持を目指しましょう。
歯周病の症状にお悩みの方は、島根県浜田市にある「かずあきデンタルクリニック」にお気軽にご相談ください。
当院では入れ歯や矯正治療、小児矯正など、さまざまな診療を行っています。当院のホームページはこちら、予約・お問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご覧ください。