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入れ歯が合わなくなる原因と対処法!使い続けるリスクも解説!

2023年10月14日
入れ歯と歯鏡

こんにちは。島根県浜田市にある「かずあきデンタルクリニック」です。

自分の歯と比べると入れ歯の噛む力は劣るため「入れ歯は合わないもの」と感じている方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、合わない入れ歯を使い続けていると、お口の中だけでなく全身にも悪影響を及ぼすことがあるのです。

この記事では、入れ歯が合わなくなる原因と対処法について解説しています。合わない入れ歯を使い続けることで考えられるリスクについても言及していますので、入れ歯の使い心地についてお悩み方は、ぜひ参考にしてみてください。

入れ歯が合わなくなる原因

手で頬を押さえている女性

入れ歯が合わなくなる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。入れ歯が合わなくなる原因は、お口の中の状態が変化することによって起こるものと、入れ歯そのものによって起こるものの2つに分けられます。以下にそれぞれ詳しく解説します。

お口の中の状態が変化することによって起こるもの

顎の骨が痩せたことによるもの

顎の骨が痩せてしまうと入れ歯が合わなくなってしまいます。入れ歯は歯茎の下にある顎の骨によって支えられていますが、顎の骨が痩せてしまうと入れ歯を支えることができなくなってしまうのです。

なぜ顎の骨が痩せてしまうのでしょうか。それは入れ歯によって顎の骨に刺激が伝わらなくなるためです。健康な歯が生えそろっている場合、上下の歯が噛み合う刺激によって顎の骨の健康な状態を維持しています。

しかし、入れ歯を入れた状態で噛んでも顎の骨に刺激が伝わりづらく、徐々に顎の骨が痩せていき、さらに歯茎も痩せていってしまうのです。それに加え、加齢や持病によっても顎の骨は徐々に痩せていってしまいます。

そのため、入れ歯を作った当初はぴったり合っていても、顎の骨が痩せることによってだんだんと入れ歯が合わなくなることがあるでしょう。

支えになっている歯の不具合によるもの

部分入れ歯の場合、残っている歯を支えにして入れ歯を安定させます。

しかし、支えにしている歯が虫歯になってしまったり、負担がかかることによってぐらつくようになると安定感が失われ、入れ歯が合わなくなることがあるのです。

虫歯の場合には虫歯治療で対応できることがありますが、歯のぐらつきが原因で入れ歯が合わない場合には原因となる歯を抜歯しないといけないこともあります。

入れ歯そのものによって起こるもの

入れ歯の経年劣化によるもの

自分の歯と同様、入れ歯も食事などで噛み合わせるたびに、徐々にすり減ったり変色したりと経年劣化していくものです。これは、保険の入れ歯でも自費の入れ歯でも変わりはありません。

しかし、自費の入れ歯と比べると、保険の入れ歯の素材のほうが劣化しやすいため、長持ちしにくいでしょう。劣化した入れ歯を使い続けることで、上下の噛み合わせが変化し「噛みにくい」「すぐに外れる」など、入れ歯が合わなくなる原因になるのです。

入れ歯に付着した汚れによるもの

自分の歯と同じように、食事をするたびに入れ歯にも食べかすや汚れが付着します。

お口の中の汚れは、初めはやわらかいためすぐに洗い流せますが、2~3日経つと唾液によって歯石という硬い汚れに変化してしまうのです。歯石は歯ブラシでこすっても取り除けません。入れ歯の歯茎に触れる部分に歯石が沈着してしまうと、歯茎と入れ歯の密着度が弱まり、入れ歯が外れやすくなったりうまく噛めなかったりするなど、入れ歯が合わなくなる原因になります。

また、入れ歯に歯石が付着することで、入れ歯の見た目が気になったり、お口の中の菌が繁殖したりすることにもつながるため、食後は必ず入れ歯とお口のケアをしましょう。

合わない入れ歯を使い続けるリスク

RISKも文字が書かれたブロックが赤い背景の前に置かれている

合わない入れ歯を使い続けるとリスクが伴います。では、どのようなリスクがあるのでしょうか。ここでは合わない入れ歯を使い続けることによるリスクを5つご紹介します。合わない入れ歯を使い続けている方は、参考にしてください。

①お口の機能の衰え

合わない入れ歯を使い続けると、食事や会話などがうまくできないことでお口の機能の衰えにつながります。お口の機能とは、食べ物をしっかり噛む、咀嚼したものを飲み込むことに加え、人と楽しく会話できることです。

「おいしいと感じること」と「周りの人と楽しく話せること」は、私たちの健康だけでなく生きる幸せにつながるといえます。

しかし、食事や会話のたびに入れ歯が外れてしまったり、うまく噛み合わせられなかったりすると、お口の機能が衰えるだけでなくストレスにもつながり、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

②歯茎を傷つけてしまう

合わない入れ歯を使い続けると、歯茎を傷つけてしまうことがあります。例えば、外れやすい入れ歯はお口の中で入れ歯が動くことで歯茎に擦り傷のようなものができたり、噛み合わせが悪い入れ歯は歯茎に負担がかかることで赤く腫れたり痛んだりすることがあるのです。

また、合わない入れ歯で歯茎が傷つくと、義歯(ぎし)性口内炎ができてしまうことがあります。義歯性口内炎ができると、入れ歯が口内炎に当たるたびに痛みが出るため、使い心地がさらに悪くなるでしょう。また、入れ歯が口内炎に当たりやすいことで、口内炎の治りも悪くなるため注意が必要です。

③残っている歯に負担がかかる

部分入れ歯を使用している場合、入れ歯が合っている・合っていないに関わらず、残っている歯に負担がかかりやすいといわれています。

しかし、合わない入れ歯を使い続けることで、過大な負担が歯にかかり続け、さらに残っている歯の寿命を縮めてしまうかもしれません。入れ歯の支えになる歯が少なくなると、その分入れ歯の安定感が悪くなり、入れ歯の使い心地が悪くなってしまいます。

残っている歯を守るためにも、合わない入れ歯を使い続けることはやめましょう。

④歯茎に負担がかかる

合わない入れ歯を使い続けると、噛み合わせが悪いことで歯茎に過度な負担がかかり、フラビーガムというブヨブヨした歯茎になってしまうことがあります。ブヨブヨしたやわらかい歯茎になってしまうと、歯茎と入れ歯の間に余分な歯茎があることで入れ歯が密着せず、合わなくなってしまうのです。

また、新しい入れ歯を作ろうとしても、ブヨブヨしたやわらかい歯茎は変形しやすいため型取りが難しく、精密な入れ歯が作れないかもしれません。そのため、ブヨブヨした邪魔な歯茎の部分は切除するという処置が必要になることもあります。

合わない入れ歯を使い続けることでブヨブヨした邪魔な歯茎になり、入れ歯が合わないだけでなく、入れ歯の作成の邪魔になってしまうこともあるので、合わない入れ歯を使い続けることはやめましょう。

⑤顎の骨に負担がかかる

入れ歯が合わないとうまく食べ物が噛めないため、顎の骨に刺激が伝わりづらく、顎の骨が痩せてしまう要因になってしまいます。顎の骨が痩せると歯茎も瘦せてしまい、入れ歯の支えになる部分が少なくなってしまうことで入れ歯のフィット感がさらに悪くなるでしょう。

また、噛み合わせが悪い入れ歯を使い続けると、顎関節に負担がかかり、顎関節症を引き起こすことがあります。特に、左右どちらかの奥歯が入れ歯の場合、噛み合わせが悪い入れ歯で噛むことを避け、もう片方の歯ばかりで噛んでいると噛み合わせに偏りが出て噛み合わせのバランスが崩れたり、顎の骨の変形してしまったりすることもあるので注意が必要です。

顎関節に負担がかかり顎関節症を引き起こすと、お口の中だけでなく頭や肩、首など全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。このように、合わない入れ歯を使い続けることは、お口の中だけでなく全身にも悪影響を及ぼす可能性があるため、なるべく早く歯科医院を受診して相談しましょう。

入れ歯が合わないときの対処法

入れ歯を水で洗っている

入れ歯が合わない場合はどのように対処すればよいのでしょうか。入れ歯が合わない場合の対処法について、以下に3つご紹介します。

・毎食後、入れ歯のお手入れをする

・入れ歯安定剤を使用する

・歯科医院を受診する

それぞれ詳しく解説します。

毎食後、入れ歯のお手入れをする

食事をしたら必ず入れ歯のお手入れをしましょう。入れ歯を清潔に保てていないと、歯石ができて入れ歯が変形したり、粘膜を傷つけたりする恐れがあります。入れ歯のお手入れをする際は、歯磨き粉で磨いたり強くゴシゴシ磨いたりすると、入れ歯がすり減ってしまうため、流水でやさしく洗い流しましょう。

入れ歯安定剤を使用する

合わない入れ歯の応急処置として、入れ歯安定剤を使用するのもおすすめです。歯茎に触れる部分に安定剤を使用することで、入れ歯と歯茎の密着度がアップし、使い心地がよくなるでしょう。

歯科医院を受診する

お手入れをしたり、安定剤を使用するだけでは合わない入れ歯の根本的な解決にはなりません。自分の歯に比べて入れ歯の噛む力は3分の1程度といわれています。新しく入れ歯を作る際、最初に何度か調整が必要なように、お口の中の変化に合わせて入れ歯を調整する必要があるのです。

そのため「前より噛みにくくなった」「歯茎が痛い」「外れやすい」など、入れ歯が合わないと感じるようになったら、歯科医院を受診しましょう。入れ歯の合わない部分を研磨したり、噛み合わせやバネ部分を調整したりすることで合うようになることもあります。場合によっては、新しく入れ歯を作り直す必要もあるでしょう。

前述のとおり、合わない入れ歯を使い続けると、さまざまなリスクがあります。入れ歯が合わないと感じたら、お口の中や入れ歯の状態が悪くなる前に歯科医院を受診しましょう。

まとめ

歯科医院で治療を受ける男性

ここまで入れ歯が合わなくなる原因や合わない入れ歯を使い続けるリスク、対処法について解説してきました。

合わない入れ歯を使い続けると、食事や会話などがうまくできないことでお口の機能の衰えにつながりやすくなり、また歯茎や残っている歯や顎の骨に負担がかかるなど、お口の中だけでなく全身にも悪影響を及ぼすことがあることをおわかりいただけたのではないでしょうか。

我慢して合わない入れ歯を使い続けていると、お口の中や入れ歯の状態が悪くなってしまう可能性があります。「前より噛みにくくなった」「歯茎が痛い」「外れやすい」など、入れ歯が合わないと感じるようになったら、まずは歯科医院を受診しましょう。

合わない入れ歯にお悩みの方は、島根県浜田市にあるかずあきデンタルクリニックにお気軽にご相談ください。

インビザライン治療のIPRとは?目的やメリットについて詳しく解説!

2023年3月11日
ゴム手袋を付けた手にマウスピースが持たれている

こんにちは。島根県浜田市にある「かずあきデンタルクリニック」です。

インビザライン治療は、透明なマウスピースを装着して歯を動かす矯正方法です。従来のワイヤー矯正のように装置が目立つことがなく、審美面でも優れているため人気があります。

インビザライン治療中に行う処置の一つに、IPRという歯を削る処置があります。歯を削ると聞くと「虫歯になりそう」と心配する方がいるかもしれません。

今回は、IPRで歯を削る方法やIPRの目的について詳しく解説します。インビザライン治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

インビザライン治療のIPRとは

歯の治療器具が並んでいる

インビザライン治療のIPRについて、歯の削る量や部位について詳しく解説します。

IPRとは

IPRとは、歯の側面をやすりで削る処置のことです。インビザライン以外の矯正治療でも頻繁に行われます。

歯を削ると聞くと不安に思う方がいるかもしれませんが、IPRで削る量はわずかであるため、痛みや虫歯の心配はありません。

IPRで削る量

歯の部位や面によってエナメル質の厚さは異なりますが、側面のエナメル質は約1~2mmあるといわれています。

IPRで削る面は歯の側面であり、削る量は0.1〜0.25mm程度です。すなわち、エナメル質の1/20~1/4以下の量を削ることになります。薄いやすりで少しずつ削り、歯の象牙質まで及ぶことはないため、神経に痛みを感じることはありません。

また、インビザライン治療では、3Dスキャン機器で歯の削る部位や量を計算します。削った量も記録して管理するため、削り過ぎなどのトラブルを防げます。

インビザライン治療においてIPRを行う目的

歯の模型を使って説明する歯科医師と、説明を聞く患者

インビザライン治療におけるIPRは、歯を並べるスペースを確保するための有効な処置です。スペースを確保する以外にもさまざまな目的があります。

インビザラインでIPRを行う目的は、以下の4つです。

・歯並びを整えるスペースを確保する

・歯の形や横幅を調整する

・隣り合う歯と歯茎のすき間を整える

・矯正の後戻りを防ぐ

一つずつ、詳しく解説します。

歯並びを整えるスペースを確保する

歯が重なり歯列がガタガタの場合、歯をきれいに並べるためにはスペースを確保する必要があります。

複数本の歯を少しずつ削ることで、ある程度のスペースを確保できます。

歯の形や横幅を調整する

歯の大きさや形は人によって異なります。例えば、前歯2本が隣の歯に比べて横幅が広く目立っている場合、歯のサイドを削ることで歯がスリムになり、前歯の悪目立ちがなくなります。

歯の角の丸みや横幅など左右のバランスを整えることで、より美しい歯並びを実現できるでしょう。

隣り合う歯と歯茎のすき間を整える

歯と歯の間の歯茎が下がり、黒く見えることを「ブラックトライアングル」といいます。ブラックトライアングルが大きいと、歯が長く見えて見た目が悪くなります。特に、もともと歯が重なっていた場合、周囲の骨ができにくく歯茎が下がります。そのあとに矯正で歯並びを整えると、歯の重なりがなくなり歯が一列に並ぶため、歯茎が下がったのが目立ってしまうのです。

歯の先端に近い側面を削ることで、歯が密着してブラックトライアングルが小さくなるため、見た目が改善します。

矯正の後戻りを防ぐ

歯の側面を削ると隣の歯と接する範囲が広くなるため、隣の歯に固定されて動きにくくなります。IPRを行うことで、矯正後に歯が元に戻ろうとする後戻りを防げるでしょう。

インビザライン治療においてIPRを行うメリット

オレンジ背景の前て両手でグッドサインを出している男性

歯を削るのはできれば避けたいと思う方がいるかもしれませんが、IPRを行うことで抜歯をせずに矯正できるなどメリットもあります。

インビザライン治療においてIPRを行うメリットは、以下の4つです。

・抜歯をせずにスペースを確保できる

・歯の形を整えてより美しい口元を作れる

・ブラックトライアングルを小さくできる

・スムーズに歯を動かせて矯正期間が短縮できる

一つずつ、詳しく解説します。

抜歯をせずにスペースを確保できる

顎が小さく歯が重っている場合、抜歯をしてスペースを確保し歯並びを整えます。IPRで歯を少しずつ削りスペースを確保できれば、抜歯をせずに矯正ができます。

ただし、IPRを行っても十分なスペースが確保できない場合は、抜歯や顎の拡大装置を併用することがあります。

歯の形を整えてより美しい口元を作れる

口元は、上下左右の歯の大きさが対照になっているとより美しく見えます。

矯正で歯並びを整えることに加えて、IPRで歯の形を調整することで、理想の口元に近付けるでしょう。

ブラックトライアングルを小さくできる

IPRで歯の側面を削ると、隣り合う歯が近付き、ブラックトライアングルが小さくなります。ブラックトライアングルが小さくなることで、歯茎が再生しブラックトライアングルがさらに小さくなるともいわれています。

歯のすき間がなくなることで、食事中に食べ物が詰まるなどの問題も改善できるでしょう。

スムーズに歯を動かせて矯正期間が短縮できる

マウスピースで歯を動かしながらIPRを行うと歯をスムーズに動かせるため、矯正期間を短縮できます。

インビザライン治療では、3Dスキャンで立てた治療計画にIPRを組み込み、歯を削るタイミングや量を決められるため、効率的に矯正治療を進められるでしょう。

インビザライン治療においてIPRが必要なケース

歯鏡で口内を診察している女性の口元

歯を並べるすき間が不足しているケース

重なっている歯や前に出ている歯を歯列に収めるためには、歯を動かすスペースを確保する必要があります。インビザライン治療を非抜歯で行う際、スペースを確保できるIPRは有効な手段です。そのほか、歯を並べるスペースを確保する方法には、抜歯や顎を拡大する方法もあります。

歯の大きさが上下左右で異なるケース

歯の大きさは人によって異なり、遺伝による矮小歯(わいしょうし)など、生まれつき小さい歯も存在します。特に前歯が不揃いであると、矯正治療で歯をきれいに並べても口元全体のバランスが整わない場合があります。歯の大きさを整えることで、左右の噛み合わせのバランスもよくなります。

IPRの方法

女性歯科医師から治療を受ける女性

IPRに使用する器具と具体的な流れをご紹介します。

IPRに使用する器具

IPRは、以下の器具を用いて歯の側面を削ります。

・手用のやすり

・ハンドピース用に取り付けるやすり

・細いバー

・ダイヤモンドディスク

やすりで歯の側面を削る

歯と歯の間に薄いやすりを入れて、歯の側面を少しずつ削ります。やすりのサイズを薄いものから厚いものに替えていき、歯と歯のすき間を少しずつ広げます。

使用するやすりには、手用のやすりやハンドピースに取り付けて使うやすり、ダイヤモンド加工されたディスクがあります。

細いバーですき間を作る

やすりである程度のすき間ができたら、細いバーを使ってさらにスペースを広げていきます。0.1mmずつ、ほかの歯とのバランスを確認しながら削ります。

削った量を記録する

IPRは矯正治療中に複数回行うため、削り過ぎることがないように、その日に削った量や部位を記録します。

研磨

削ったあとのざらつきをなくすために、表面を研磨します。

フッ素塗布

削ったあとは歯の表面が荒れた状態になるため、再石灰化を促すためにフッ素を塗布します。

IPRを行うにあたって気になること

コルクのテーブルの上にクエスチョンマーク・頭脳・電球が描かれた木のブロックが並んでいる

健康な歯を削ることで、将来的に歯の神経が死んでしまったり、痛みが出たりしないのか詳しく解説します。

歯を削っても安全性に問題はない?

歯を削ると聞くと「歯の神経が死んでしまうのでは」と安全性の問題を心配される方もいらっしゃると思います。

しかし、IPRで歯を削る量はエナメル質のごくわずかであり、神経の通っている象牙質まで到達することはありません。また、IPRの処置では麻酔を行うこともありません。隣接面に被せ物や詰め物がある場合は、人工物を多く削るなど健康な歯を残すように工夫して削ります。

歯の痛みや知覚過敏のリスクはない?

知覚過敏や虫歯の場合、象牙質の露出や象牙質まで虫歯が進行することで痛みが発生します。IPRの処置ではエナメル質の表面を軽く削るため、痛みや知覚過敏の心配はありません。

ただし、電動の器具で削る場合、歯を擦る振動が伝わり不快感があるかもしれません。不安を感じる方は、事前に使用する器具を見せてもらい、鏡で見ながら処置を行うことで安心感を得られるでしょう。

IPRはどのタイミングで行う?

IPRを行うタイミングは大きく分けて2つあります。以下で詳しく解説します。

インビザライン治療前にIPRを行う場合

歯を移動させるスペースがない場合は、矯正治療の開始前に歯を削る場合があります。

インビザライン治療では矯正後の歯並びをシミュレーションできるため、目標とする歯並びに合わせて事前に歯の削合量を決定できます。事前にIPRを行うことで、効率的に矯正治療を進めることが可能です。

インビザライン治療中にIPRを行う場合

マウスピースで歯を移動させながら必要な部位に対してIPRを行うと、歯をスムーズに動かせるため、矯正期間を短縮できます。効率よく矯正することは、患者様の負担軽減にもつながるでしょう。

また、矯正治療中にブラックトライアングルが発生した際にIPRを行う場合もあります。

まとめ

紫の背景の前で片手にマウスピースを持っている女性がいる

IPRは、歯を動かすスペースを確保し、バランスを整えるために必要な処置です。インビザライン治療では、3Dスキャンを併用することで、より正確に矯正治療を進めることができます。IPRで歯を削る量はわずかであり、歯に影響はありません。IPRに不安がある方は、歯科医院で画像を見せてもらい、削る部位や量の説明を受けるとよいでしょう。矯正治療は長期にわたるため、納得したうえで治療を進めることをおすすめします。

インビザライン治療についてお悩みがある方は、島根県浜田市にあるかずあきデンタルクリニックにお気軽にご相談ください。

インビザラインで正中のずれは治せる?正中がずれる原因や治療期間、費用も詳しく解説!

2023年2月1日
綺麗な歯並びの女性

こんにちは。島根県浜田市にある「かずあきデンタルクリニック」です。

インビザラインで正中のずれは治せます。

ただし、症例によってはワイヤー矯正や手術との併用が必要になる場合もあります。正中のずれは審美性に大きく影響するため、可能な限り真ん中に合わせたいと思う方も多いでしょう。

今回は、正中がずれる原因とインビザライン治療における治療期間と費用について解説します。

正中とは?

歯の模型を使って説明をする歯科医師

歯科でいう正中とは、歯を噛み合わせたときの上下の前歯の真ん中を指します。正面から見たときに、鼻筋と上下の前歯の真ん中が一直線につながっている状態が美しいとされています。

特に、上顎の正中が鼻筋とずれていると顔が歪んだ印象に見えます。人間の顔や体は左右対称と思われがちですが、完全に左右対称の方はほとんどいません。生まれつきの特性だけでなく、歩き方の癖や姿勢によって体のバランスは悪くなります。歯も同様で、噛み方の癖などがある場合は、左右の歯や顎のバランスが崩れやすくなります。

正中がずれる原因

顎の骨のレントゲン写真

正中がずれる原因は、先天的と後天的に分けられます。また、歯の生え方によるものと、顎の骨が非対称な場合の2パターンあります。正中がずれる原因は、以下の6つです。

歯の数が少ない

通常、永久歯は28本で、親知らずを含めると32本あります。先天性欠如歯といわれる、生まれつき歯の本数が1〜2本少ない方がいます。歯の本数が少ない場合、左右の生え方のバランスが崩れ、正中がずれやすくなります。また、歯の本数が少ないと歯茎にスペースが余ってしまうため、全体的に歯並びが悪くなる傾向があります。

歯の大きさが左右で異なる

左右の歯を比べて大きさが非対称の場合、均等に生えそろうことが難しいため、正中がずれる原因になります。左右の目の大きさが若干違うように、歯の大きさにも差が出ることがあります。例えば、片側だけに八重歯が生えている場合は左右でバランスが崩れるため、正中にずれが生じやすくなるのです。

噛み合わせが悪い

奥歯の噛み合わせが悪い場合も、正中がずれる原因の一つです。重度の出っ歯や受け口、歯の生える方向がバラバラな場合も、正中がずれやすくなります。

顎の骨のバランスが悪い

顎の骨は歯を支える土台となるため、顎の骨のバランスが悪いと歯並びにも影響します。上下の顎の骨が歪んでいると、歯の正中も中心からずれてしまいます。また、歯に対して顎のサイズが極端に大きかったり小さかったりすると、正中のずれが起きやすいです。

顎の骨は遺伝によるものが多いですが、次の項目で説明する日頃の癖でも顎の形が変形することがあります。顎が大きく歪んでいる場合、無理に正中を合わせてしまうと、かえって顔のバランスが崩れ、噛み合わせが悪くなるリスクがあります。顎の骨に問題がある場合は、歯科矯正だけでなく、骨格を調整する手術も必要になります。

日頃の癖によるもの

日頃の癖によって顎の骨がずれやすくなることがあります。以下の癖があてはまる方は注意が必要です。

・片側ばかりで噛む

・頬杖をつく

・いつも同じ側を下にして寝る

食事の際に左右どちらかに集中して噛んでいると、片側のみに負担がかかり顎のバランスが崩れやすくなります。頬杖をついたり、就寝時に同じ側ばかりを下にして寝ていたりすると、片側の顎に負担がかかり正中がずれる原因になります。

歯科矯正の影響

生まれつき歯が少ない方や抜歯した方などは、歯科矯正を受けても基本的に正中は合いません。歯科矯正は噛み合わせを重視することが多いので、奥歯に合わせることにより正中がずれる可能性があります。

正中のずれを放置することによるリスク

青い背景にRISKという文字の中に赤いハシゴがかけられている

正中のずれは見た目に影響するだけでなく、さまざまなリスクがあります。以下に、正中のずれを放置することによるリスクについて説明します。

顔の歪みにつながる

正中のずれが2mm以上ある場合、顔の歪みが目立ちます。もともと顔が完全に左右非対称のかたは極めて少ないとお伝えしましたが、正中がずれていると、顔が左右非対称であることにくわえて歪みにつながることがあるのです。上下の前歯だけでなく鼻筋からも正中が大きくずれている場合は、顔の歪みが目立ち、見た目にも大きく影響します。

噛み合わせに問題が生じる

正中がずれていると、上下の歯が正常に噛み合っていないことが考えられます。噛み合わせが悪いと、食べ物をすりつぶすことが難しくなり、胃腸への負担が大きくなります。食べ物を十分に噛み砕かずに大きいまま飲み込むと、消化不良を起こすこともあるでしょう。

さらに、正中がずれていると前歯で噛む力が弱くなることがあります。奥歯ばかりを使うと負担が大きくなるため、歯の消耗が激しくなる可能性が考えられます。同じ歯を酷使していると、将来的に歯が欠けたり割れたりすることがあるので、咀嚼する際は全体の歯を均等に使うようにしましょう。

顎関節症の発症リスクが高くなる

顎が原因で正中がずれている場合は、顎に負担がかかりやすい状態のため、顎関節症を発症するリスクが高くなります。顎関節症を発症すると「口を大きく開けられない」「口を開けると痛い、音が鳴る」などの症状が現れます。また、重度の顎関節症になると手術が必要になる場合もあります。

インビザラインで正中のずれは治せる?

水色の台の上に2つのマウスピースが置かれている

インビザラインで正中のずれは治せますが、歯の生え方が原因の場合に限ります。正中のずれが数mm以内なら許容範囲内とされています。顎の骨に問題がある場合は、インビザラインだけでの改善は難しいため、矯正にくわえて骨格改善の手術が必要です。また、正中のずれが重度で抜歯が必要になる場合は、インビザラインの適用は難しいでしょう。

正中のずれが軽度の場合はインビザラインで治療できますが、上記のようにすべての症例に対応しているわけではないので確認が必要です。歯そのものが曲がっていたり、正中だけでなく全体の歯並びが極端に悪かったりする場合は、ワイヤー矯正との併用が必要になる可能性があります。

インビザラインは、治療前にシミュレーション動画を作成して治療結果を予測します。ワイヤー矯正の場合は、実際に歯を動かしてみないと、どこまで正中を合わせることができるかが不明というデメリットがあります。一方、インビザラインであれば、シミュレーション動画によって、事前に正中のずれを治せるかどうかを知ることができます。また、一度のインビザライン治療で正中のずれを治せなかった場合でも、マウスピースを作り直して治療を継続することができます。

しかし、インビザラインで治療をしても正中がずれたままになる場合があるということに注意が必要です。正中が鼻筋から前歯の上下まで垂直になっている場合は審美性が高いですが、必ずしも「正中が真ん中であることが、噛み合わせがよいことである」とは限りません。噛み合わせを正しい位置に合わせたら、正中がまっすぐにそろわない場合もあります。インビザライン治療において、正中のずれがある場合はできる限り合わせるように治療を進めますが、真ん中でそろうようにすることで噛み合わせが悪化する場合は、噛み合わせのよさを優先することがほとんどです。

正中を合わせるためにインビザライン治療を受けたにもかかわらず、正中がずれたまま治療が終わってしまっては本末転倒です。このような事態を避けるには、治療前に歯科医師とのすり合わせが重要といえます。

インビザラインで正中のずれを治すためにかかる期間・費用

水色の台の上に木の時計と黄色いペン、黒いカレンダーが置かれている

症例の度合いによって治療期間は異なりますが、約1〜2年でしょう。また、費用は自費診療のため歯科医院によって異なり、約800,000〜900,000円が相場です。

インビザライン治療の流れ

階段の絵を指で登っている

インビザライン治療は、以下の流れで行います。

  1. カウンセリング
  2. 検査
  3. 治療計画の作成
  4. 治療開始

カウンセリングは、治療内容の説明を受け、インビザラインで症状が改善されるかなど、治療に対する不安や疑問を解消するために行います。この時点で、歯科医師としっかり情報共有をしておかないと、希望していた治療効果が得られないなどのトラブルにつながります。

検査では、診断と治療計画を立てるために、レントゲンや顔写真の撮影や歯型の採取を行います。集めたデータをもとに治療計画を立てますが、インビザラインでは「クリンチェック」とよばれるソフトを使用し、シミュレーション動画を作成します。シミュレーションで予測された治療結果に納得がいけば治療を開始します。

インビザラインのマウスピースはアメリカで製作されるため、届くまでに約1か月かかります。インビザラインは、治療段階によってマウスピースを使い分け、1〜2週間で新しいマウスピースに交換する必要があるので、定期的な通院が必要です。

まとめ

黄緑の背景の前に歯鏡と歯の模型が置かれている

症例によってはインビザラインで正中のずれを治せますが、歯科矯正は、審美性だけでなく噛み合わせも考慮しなければいけないため、正中がずれたままになることもあります。インビザライン治療は治療期間が長く費用も高額になるため、納得した治療ができるよう事前に歯科医師としっかりコミュニケーションを図ることが大切です。

インビザラインを検討している方や疑問がある方は、島根県の歯医者「かずあきデンタルクリニック」にお気軽にご相談ください。